クラシックバレエにおいて、踊りの流れを美しく繋げるために欠かせないステップのひとつが 「バランセ(Balancé)」 です。フランス語で「揺れる」「バランスを取る」といった意味を持つこの動きは、その名の通り、左右や前後に軽やかに揺れるようなリズム感が特徴です。
発表会や舞台で観客の心を惹きつける優雅さを持ちながら、基礎レッスンでも頻繁に登場するため、初心者から上級者まで習得が必須のステップです。
バランセの基本動作
バランセは通常、3拍子(ワルツのリズム) に合わせて行われるステップです。以下が基本的な流れです。
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片足に重心をのせる
まず、プリエ(膝を曲げた姿勢)からスタートします。 -
横または斜めにステップ
足を横、前、または後ろに出して体重を移動します。 -
反対側へ揺れるように移動
次の拍で反対の足へ重心を移し、身体が揺れるような流れを作ります。 -
3拍目で戻る
最初の姿勢に戻るようにして、流れをリセットします。
この 1・2・3 のリズム感を保つことで、踊り全体にしなやかな揺れが生まれます。
バランセの種類
バランセにはいくつかのバリエーションがあります。踊る場面や振付によって使い分けられます。
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横のバランセ(Balancé de côté)
左右に揺れる最も基本的なバランセ。 -
前後のバランセ(Balancé en avant/en arrière)
前後に揺れるバランセで、舞台上の移動や空間の広がりを表現する際に用いられます。 -
回転を伴うバランセ
上体や顔の方向を変えながら行うことで、より立体的でドラマチックな印象を与えます。
バランセを美しく見せるポイント
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上体を硬直させない
バランセは「揺れ」が命。肩や腕をリラックスさせ、呼吸を感じながら動くことが大切です。 -
頭の方向(エポールマン)を意識
バレエでは顔の向きや上体の傾きが美しさを左右します。目線を使い、空間を感じることでステップが一層エレガントになります。 -
ワルツのリズムを感じる
音楽に合わせて「1・2・3」と数えることで、自然にバランセらしい流れが身につきます。
バランセのよくある間違い
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動きが平面的になる → 上体や腕を固めると、ただの横移動に見えてしまいます。
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リズムが均等にならない → 「1・2・3」の拍のどこに重心が乗るかを意識しましょう。
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プリエ不足 → プリエが浅いと、足がバタつき、優雅さが失われます。
バランセの魅力と役割
バランセは、ソロのヴァリエーションや群舞の場面でも多用されます。特に群舞では、複数人が同じ方向にバランセをすると、舞台上に波のような揺れが生まれ、とても美しい効果を生み出します。
また、バランセは単なる「つなぎのステップ」ではなく、ダンサーの音楽性や表現力を試される重要な動きでもあります。リズム感と優雅さを兼ね備えたステップだからこそ、バレエの魅力を体現できるのです。
まとめ
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バランセ(Balancé)は「揺れる」という意味を持つバレエの基本ステップ
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3拍子のリズムに合わせて行う優雅な動き
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横・前後・回転を伴うなど多彩なバリエーションがある
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美しく見せるにはプリエ、上体の使い方、リズム感が重要
初心者にとってはリズムに合わせて身体を揺らす練習になり、上級者にとっては表現力を磨くステップになります。
舞台でのバランセは、観客に「優雅な波」を感じさせる大切な瞬間。ぜひレッスンでじっくり練習してみてください。
🔗 参考リンク
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