はじめに|音に乗れてこそ“踊り”になる
バレエは、ただのポーズやジャンプの連続ではありません。そこに“音楽”が加わってはじめて「舞踊」となります。
しかし、初心者から中級者まで、よくある悩みが…
「振りを覚えるので精一杯で、音に乗れない」
「リズムがずれてしまって、先生に注意される」
「自分だけテンポが合っていない気がする」
このような“音とのズレ”は、踊りの完成度を大きく左右します。
今回は、音楽とバレエの関係を深掘りしながら、「音感」「リズム感」「表現力」を育てるコツを5つご紹介します。
1. 音楽は“数える”のではなく“感じる”
初心者がよくやってしまうのが「1・2・3・4……」と頭で数えながら踊ること。これはリズムを取る第一歩ではありますが、音楽そのものを感じる訓練にはなりません。
✅ 音楽に“のる”には?
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まずは音楽を目を閉じて聴いてみる
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テンポ・拍子だけでなく、感情の流れや音色の変化にも耳を傾ける
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バレエの曲(例:『白鳥の湖』『くるみ割り人形』)を日常的にBGMとして流す
🎧 耳が“バレエ音楽の呼吸”を覚えると、自然と振付の吸収が早くなります。
2. テンポの違いを体感する練習
同じ振付でも、音楽のテンポが少し変わるだけでまったく違う印象になります。
リハーサルでは急にテンポが変わることもあるので、柔軟に対応する力が必要です。
✅ 家でできる練習
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スローテンポ/通常テンポ/速めのテンポで同じステップを踊ってみる
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例:タンジュを60bpm、80bpm、100bpmでやってみる
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「速い音だとどこが崩れるか」「遅いとどこが甘くなるか」を意識する
🕰️ 自分の苦手テンポがわかると、対策がしやすくなります。
3. “指揮者のように”カウントを感じる
上級者はカウントを数えていないように見えて、しっかり体の中でビートを刻んでいます。
✅ 実践的テクニック
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足でステップをする前に、頭・胸・腕だけでリズムを取る練習をする
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例えば:
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バーレッスン前に「8カウントの腕の準備」を口でカウントしながら動かす
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自分で「1・2・3・4……」と指揮者のようにカウントするクセをつける
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👣 「踊る前から音楽をリードする意識」が表現力に繋がります。
4. “アンダンテ”や“アレグロ”を身体で理解しよう
バレエのレッスン用語でも登場する音楽用語「アンダンテ(ややゆっくり)」「アレグロ(軽快に)」など。
これらはただのテンポ指定ではなく、身体の質感や気持ちの方向性を示しています。
✅ 意識の変化
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「アレグロ=速く跳ぶ」ではなく、「軽やかで弾むように」
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「アダージョ=ゆっくり動く」ではなく、「重さと優雅さを出す」
🎼 テンポだけでなく「音の質感」を動きに反映させることで、舞台で“音と一体化した踊り”になります。
5. 自分で“音と動き”を作ってみる
一番の応用トレーニングは、自分で振り付けを考えて踊ってみること。
✅ 自主練のアイデア
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好きなクラシック曲(例:バッハ、チャイコフスキー)を流して即興で動いてみる
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4カウントの組み合わせを考え、自分で構成してみる
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スマホで撮影→見返して、音と合っているかチェックする
🎬 即興力が育つと、舞台やオーディションでも堂々と対応できるようになります。
まとめ|「音楽と呼吸する感覚」が表現力を育てる
バレエは“動き”だけでなく、“音”と一緒に生きる芸術です。
上手なダンサーほど、「どんな音楽にも自分の身体で応えられる柔軟さ」を持っています。
🩰 まとめの5ポイント
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数えるだけでなく、音楽を感じる力を育てる
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テンポの違いを体感して、柔軟に動けるようにする
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カウントを体の中で刻む練習をする
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音楽用語の“質感”を動きで表現する
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自分で動きを作り、音との対話を楽しむ