はじめに:ポワントは「瞬間の力」ではなく「継続の力」
ポワントでの美しい立ち姿。
つま先で空気をつかむように立ち続ける姿は、バレエの象徴ともいえる美しさを持っています。
しかし、いくら高く立てても、途中で足首がグラついてしまっては意味がない。
そして、グラついた足首はそのまま怪我のリスクへとつながります。
ポワントで求められるのは、“立てる瞬間の筋力”ではなく、長く安定して支える足首の持久力なのです。
足首持久力とは何か?
「持久力=長く動ける力」と聞くと、走る力や心肺のことを思い浮かべがちですが、ポワントにおける足首持久力は以下の3つを指します:
項目 | 内容 |
---|---|
靭帯・関節の安定力 | 長時間の負荷に耐える柔軟かつ安定した関節の状態 |
足首周囲の筋持久力 | ふくらはぎ、足底筋、前脛骨筋などが疲れにくくなる力 |
神経−筋の協調性 | 疲れても姿勢やポジションを正確に保つバランス感覚 |
つまり、ただ強いだけではなく、「長時間・正確に・疲れずに保つ」力が問われるのです。
なぜ足首の持久力が必要なのか?
✔ ポワントで立つ時間が長くなっている
振付がより高度化し、リフトや連続ジャンプの後にもポワントでの保持が求められる場面が増えています。
✔ 若いダンサーのケガ予防に直結
足首の疲労は、捻挫・疲労骨折・アキレス腱炎といった怪我の原因になります。
✔ 表現力の安定に貢献
足首が安定すると、表情・腕の動き・上半身の表現にも余裕が生まれ、舞台での“余白ある美しさ”を生み出せます。
今日からできる!足首持久力を高めるトレーニング5選
① セラバンドでのフレクス&ポワント反復(20〜30回)
目的:足底筋・前脛骨筋の強化
方法:座った状態で、足裏にセラバンドをかけて、つま先をゆっくり伸ばし、ゆっくり戻す。スピードより“丁寧さ”が大切。
🔹 ポワントの形を丁寧に通るよう意識しよう。
② カーフレイズ(かかと上げ)持続チャレンジ(1分×3セット)
目的:ふくらはぎの筋持久力強化
方法:両足または片足でルルヴェし、その状態を60秒間キープ。バランスが取れたら、目を閉じてチャレンジ。
🔹 徐々に時間を増やすと効果的!
③ 足指グー・チョキ・パー体操
目的:足底筋・内在筋の細やかな制御力
方法:床に足をつけた状態で、足の指だけでグー(丸める)、チョキ(親指だけ立てる)、パー(全部開く)を繰り返す。
🔹 疲れてくると動かなくなるので、これも“持久トレ”になります!
④ 壁ルルヴェ&スロー降下(エキセントリックトレーニング)
目的:アキレス腱・腓腹筋の耐久強化
方法:壁に手をつき、足をルルヴェし、5秒かけてゆっくり降りる。上げるときは素早くOK。
🔹 ポワントで立ち続ける力に直結!
⑤ バランスボード or バランスクッション
目的:不安定な床でのバランス保持能力強化
方法:ポワント立ちの代わりに、つま先立ちでバランスボードに乗って1分キープ。手を離せたら成功!
🔹 怪我のリスクを避けるため、最初はサポート付きで!
トレーニングのコツ:休養もセットで“鍛える”
持久力トレーニングには、筋肉の**超回復(疲労→回復→強化)**が必要です。
以下のルールを守りましょう:
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同じ部位を連続して鍛えない(1〜2日おき)
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トレーニング後は冷却とストレッチを忘れずに
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成長期の子どもは痛みがあれば中止(疲労骨折のサインかも)
よくある質問Q&A
Q1:ポワントを始める前から鍛えておいた方がいい?
A1:はい!ポワント開始前のトレーニングは、スタート後の怪我予防と成功体験につながります。
Q2:ポワントを長時間履くレッスンの日、トレーニングは控えるべき?
A2:その日は控えめにするか、疲労度に応じて翌日に回すのが安全です。
Q3:毎日少しずつやるのと、週に一度まとめてやるのはどちらが良い?
A3:基本は“毎日少しずつ、無理なく継続”が理想です。持久力は「習慣」でついてきます。
おわりに:見えない努力が、美しさを支えている
ポワントで長く、正確に、美しく立ち続けるためには、目には見えない足首の持久力が必要不可欠。
これは、才能ではなく“コツコツとしたトレーニングの積み重ね”でしか手に入りません。
今日からの一歩が、半年後の自分を支える“強さ”になります。
美しさの裏にある努力を、自分の誇りに変えていきましょう。