~無理なく開く、ケガなく伸ばす~
「ターンアウト=柔軟性」だけじゃない
バレエにおいて「ターンアウト(アン・ドゥオール)」は美しく踊るための基盤です。
でも…
- 「開けと言われるけど、股関節が詰まる感じがする」
- 「柔軟は頑張っているけど、変わらない」
- 「無理して開こうとすると腰や膝が痛くなる」
こんな経験、ありませんか?
実は、ターンアウトは単なる柔軟性ではなく、股関節の構造理解と使い方、筋肉の連動性がカギ。
今回は、「股関節が硬い」「ターンアウトが苦手」と感じている人のために、安全で効果的に可動域を広げる5つのエクササイズをご紹介します。
ターンアウトに必要な筋肉とは?
ターンアウトを正しく、自然に行うには以下の筋肉が大切です:
- 深層外旋六筋(股関節を外に回す筋肉)
└ 梨状筋、内閉鎖筋、外閉鎖筋、上双子筋、下双子筋、大腿方形筋など - 内転筋群(ターンアウトを内側から支える)
- 腹横筋や骨盤底筋群(体幹の安定性)
柔軟性と筋力、どちらもバランス良く鍛える必要があります。
ターンアウトが自然に広がるエクササイズ5選
① 90/90ストレッチ(股関節の可動域UP)
【目的】股関節のインナーを安全に開く
【やり方】
- 床に座り、前脚は膝90度・後ろ脚も膝90度に
- 背筋を伸ばしながら、体を前脚方向にゆっくり倒す
- 30秒キープ、反対側も
✔ 股関節の前後差に気づきやすく、深層筋へじんわりアプローチ。
② スクワットwithターンアウト
【目的】ターンアウト時の正しい筋肉を覚える
【やり方】
- 脚を少しターンアウトした状態で肩幅に開き立つ
- 骨盤をまっすぐにしたまま、まっすぐ下にスクワット
- つま先・膝・股関節のラインがズレないよう意識して10回
✔ 筋力が足りないと開いてもすぐ戻る。正しい動きの感覚を養うメニュー。
③ 仰向けヒップリフト(骨盤安定)
【目的】骨盤を支える体幹とお尻を強化
【やり方】
- 仰向けに寝て膝を立てる。足はターンアウト気味に
- 息を吐きながらお尻を持ち上げる
- 肩から膝が一直線になったら3秒キープ→ゆっくり戻す×10回
✔ 骨盤が安定すると、無理な開脚がなくなり安全なターンアウトに。
④ 内転筋アクティブ・リフト
【目的】内転筋群の活性化
【やり方】
- 横向きに寝て、下の脚をまっすぐ前へ
- 上の脚は後ろに置いて支える
- 下の脚をゆっくり持ち上げ→ゆっくり下げる×10回
✔ これが意外とキツイ!でも内ももをしっかり使えるとターンアウトが安定。
⑤ セラバンド外旋トレーニング
【目的】深層外旋六筋をピンポイントで鍛える
【やり方】
- セラバンドを両足にかけて座る(膝を90度に曲げて)
- 両膝を揃えたまま、片足をゆっくり外に開く→戻す
- 左右10回ずつ
✔ 見た目以上に効く!回旋のコントロール力がついてきます。
トレーニングのポイント3つ
- 「伸ばすだけ」ではなく「動かしながら伸ばす」
静的ストレッチと動的エクササイズの組み合わせが最も効果的。 - 呼吸を止めない!
深い呼吸はインナーマッスルの活性化にもつながります。 - 毎日コツコツ3分から
1日少しでも「意識する時間」を作ることで、体の使い方が変わってきます。
よくある誤解
❌「無理に開けばそのうち柔らかくなる」
→ 逆効果。股関節の構造には個人差があり、無理をすればケガのリスクが高まります。
❌「開かない=ダメなダンサー」
→ 違います!**開き方の“質”と“コントロール”**が最も重要。むしろ力で無理に開いている方が危険です。
まとめ:ターンアウトは「股関節の対話力」
股関節は、力づくで開かせるものではなく、“対話しながら導く”ものです。
今日紹介した5つのエクササイズを通じて、
「私はどう開くと心地いいのか?」「どこが引っかかってるのか?」と、自分の身体に丁寧に向き合ってみてください。
“美しく、安全に、長く踊る”ために——。
まずは、股関節の自然な動きから整えていきましょう。