ランニングやジャンプ動作の多いスポーツ、バレエなどでは、太ももの外側にある腸脛靭帯(ITバンド)が硬くなることがあります。
腸脛靭帯が硬くなると、膝の外側に負担がかかり、いわゆる**ランナー膝(膝外側の痛み)**の原因になることがあります。
そこで今回は、腸脛靭帯の解剖学的な特徴や、ランナー膝予防に役立つストレッチを詳しくご紹介します。
腸脛靭帯とは?
腸脛靭帯は、大腿筋膜張筋(TFL)と大殿筋の一部から始まり、膝の外側まで伸びる強靭な腱組織です。
主な役割
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股関節の外転、内旋、安定
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膝関節の外側を支え、ランニングやジャンプ動作での衝撃を分散
腸脛靭帯が硬くなると…
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膝の外側の摩擦や炎症を引き起こす
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ランニング時に痛みを感じやすくなる
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脚の動きが制限され、疲労が蓄積しやすくなる
腸脛靭帯ストレッチのポイント
腸脛靭帯は直接伸ばすことが難しい靭帯組織ですが、周囲の筋肉(大腿筋膜張筋・大殿筋)をほぐすことで間接的に伸ばすことができます。
ポイントは以下の通りです:
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呼吸を止めず、じんわり伸ばす
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硬さを感じる部分を重点的に伸ばす
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毎日少しずつ行うことで柔軟性アップ
ストレッチ1:立位クロスストレッチ
方法
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立った状態で伸ばしたい脚を後ろにクロスさせる
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腰を前に押し出すイメージで太ももの外側を伸ばす
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20〜30秒キープ、左右交互に
ポイント
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背筋をまっすぐに保つ
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脚の外側全体が伸びる感覚を意識
ストレッチ2:横向き脚クロスストレッチ
方法
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横向きに寝て下側の脚を軽く曲げる
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上側の脚を前にクロスさせ、床に軽く置くか手で押さえる
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20〜30秒キープ、左右交互に
ポイント
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骨盤の安定を意識し、反動を使わずゆっくり伸ばす
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股関節の外旋・外転方向に腸脛靭帯を伸ばす
ストレッチ3:フォームローラー・テニスボールほぐし
方法
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床に座り、フォームローラーやテニスボールを太もも外側に置く
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前後にゆっくり転がしながら、硬いポイントをほぐす
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片脚1分程度
ポイント
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筋膜リリースで柔軟性アップ
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血流促進で疲労回復
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腸脛靭帯の硬さを感じやすい部分を重点的に
ストレッチ4:サイドランジストレッチ
方法
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足を肩幅より広めに開いて立つ
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片膝を曲げて腰を落とし、反対側の脚は伸ばす
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太もも外側の伸びを感じながら左右各20〜30秒キープ
ポイント
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側方の動きで腸脛靭帯全体を伸ばす
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内転筋も同時にほぐせる
ストレッチ5:仰向け膝抱え外側ストレッチ
方法
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仰向けで片膝を胸に引き寄せる
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膝を少し外側に倒して太もも外側を伸ばす
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左右各20〜30秒キープ
ポイント
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腸脛靭帯終点の膝外側も軽く伸ばせる
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お尻や股関節の連動も意識
日常でのケアのコツ
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ランニング前:軽い股関節・太もも外側の動的ストレッチ
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ランニング後:今回紹介した静的ストレッチでリリース
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フォームチェック:膝や股関節の使い方が偏らないよう意識
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筋力強化:中殿筋や大殿筋を鍛えることで腸脛靭帯への負担を軽減
まとめ
腸脛靭帯は直接伸ばすのが難しいため、周囲の筋肉を意識的にほぐすことがポイントです。
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太もも外側を柔らかくすることで、膝の外側への負担を減らし、ランナー膝予防につながる
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フォームローラーやテニスボールでの筋膜リリースが効果的
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毎日少しずつの習慣が、膝の痛みや疲労の蓄積を防ぐ
ポイントは「呼吸とリラックスを意識し、痛みのない範囲でじんわり伸ばす」こと。
ランニングやバレエ、日常の歩行で太もも外側が張りやすい方は、ぜひ取り入れてください。