「バレエって子どものころからやっていないと無理じゃない?」
そう感じて一歩を踏み出せない20代の方は多いかもしれません。
でも実は、大人からバレエを始める人が急増中。
特に20代は、体力・柔軟性・学習力のバランスが取れており、
「大人バレエの黄金期」とも言われています。
ここでは、これからバレエを始める20代の方に向けて、
始める前に知っておきたい基礎知識や準備のポイントを、
現役講師の視点から詳しく解説します。
バレエは「美しく動くための解剖学」
バレエは単なる踊りではなく、身体の使い方を体系的に学ぶ芸術です。
たとえば、姿勢ひとつとっても「どの筋肉を意識して、どう骨を支えるか」が細かく決まっています。
20代から始める人が特に意識すべきは、次の3点:
- 正しい姿勢(アライメント)
背骨を引き上げ、骨盤を立て、頭から足先まで一直線に整える。
これがすべての動きの基本になります。 - 体幹の安定
お腹・背中・骨盤まわりの筋肉を使って身体を支えることで、
手足の動きがより美しく、軽やかになります。 - 足のポジション
「1番・2番・3番・4番・5番ポジション」と呼ばれる足の置き方を覚えることで、
動きにバレエらしい品格が生まれます。
最初は筋肉痛になることもありますが、
「身体を正しく使う」意識が身につくと、日常の立ち姿や歩き方まで変わっていきます。
クラスの流れを知っておこう
初めての方が戸惑いやすいのが、レッスンの流れです。
大人バレエのクラスは、たいてい次のような構成になっています。
- バー・レッスン(約30〜40分)
バーレールにつかまりながら、基本姿勢・プリエ・タンデュなどの基礎を行います。
音楽に合わせて身体を温め、筋肉と感覚を整えます。 - センター・レッスン(約30分)
バーを離れてバランスを取りながら動きます。
アダージオ(ゆっくりした動き)、アレグロ(跳躍)、ピルエット(回転)など、
音楽性や表現を磨く時間です。 - クールダウン・ストレッチ
最後にストレッチをして筋肉を整え、疲労を残さないようにします。
最初は「ついていけない」と感じるかもしれませんが、
半年も続けるうちに身体が自然と反応するようになります。
シューズ・ウェアの選び方
バレエを始めるうえで欠かせないのが、正しいアイテム選びです。
- バレエシューズ:最初は布製のフルソールタイプが安定しておすすめ。
- レオタード:身体のラインを確認できるため、正しい姿勢を身につけやすい。
- タイツ・スカート:動きを妨げず、清潔感と品のある印象に。
「体型が気になる」という方も多いですが、
最近はスタイルアップ効果のあるデザインや、
露出を抑えたおしゃれなウェアもたくさん登場しています。
見た目を整えることで、自然と気持ちも引き締まり、モチベーションが上がります。
柔軟性がなくても大丈夫
「身体が硬いから無理」という声をよく聞きますが、
大人からでも柔軟性は確実に伸びます。
大切なのは、無理に開脚をすることではなく、
“筋肉の正しい伸ばし方”を覚えること。
たとえば、
- ハムストリング(太ももの裏)をじっくり伸ばす
- 股関節まわりを温めて可動域を広げる
- 肩甲骨まわりをほぐして腕の動きをスムーズにする
これらを毎日少しずつ続けるだけで、3か月もすれば見違えるほど動きがしなやかになります。
20代から始めるメリット
- 身体の感覚が吸収しやすい
20代は筋力も柔軟性もまだ十分にあり、基礎を覚えるのに最適。 - 集中力と理解力がある
子どものころよりも理論的に学べるため、上達が早い傾向があります。 - ストレス解消・美容効果が高い
姿勢が整い、代謝が上がることで、自然とボディラインも引き締まります。 - 芸術を通して“自分らしさ”を取り戻せる
仕事や日常から離れて、音楽とともに身体を動かす時間は、
心のデトックス効果も抜群です。
続けるためのコツ
- 最初から完璧を目指さない
バレエは「比べない」ことが大切。少しずつ自分のペースで進めましょう。 - 週1でもOK、継続を最優先に
大事なのは「続けること」。週1回でも習慣になれば、確実に身体は変わります。 - 信頼できる先生と出会う
姿勢や使い方を的確に教えてくれる先生のもとで学ぶことで、怪我も防げます。
まとめ
20代からバレエを始めるのは、まったく遅くありません。
むしろ、心も体も柔軟に変化できる時期だからこそ、
芸術としてのバレエを深く理解し、楽しむことができます。
大切なのは「完璧さ」ではなく、“美しくなろうとする時間”を楽しむこと。
最初の一歩を踏み出した瞬間から、あなたの中のバレリーナが静かに目を覚まします。
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