クラシックバレエには大きなジャンプだけでなく、繊細で素早い小さなジャンプも多く存在します。その代表例が 「ブリゼ(Brisé)」 です。
軽やかに床を蹴り、足を交差させながら移動するブリゼは、優雅さと俊敏さを兼ね備えたステップで、多くのバレエ作品やヴァリエーションに登場します。
ブリゼの意味とは?
「Brisé」はフランス語で 「砕けた」「壊れた」 という意味を持ちます。
この名前は、足を交差させながら素早く動かすことで「砕けるように見える」動きから付けられています。
ブリゼの基本的な動き
ブリゼは、小さなアッサンブレに似たジャンプ とも言われますが、足を前後に交差させながら進む点に特徴があります。
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準備(ポジション)
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通常は5番ポジションから始めます。
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床を蹴ってジャンプ
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プリエから床を素早く蹴り、空中で両脚を交差させます。
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空中での足の交差
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前後に足を入れ替えるように素早く動かします。
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着地
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再び5番ポジションに着地し、次のステップにつなげます。
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※ 横方向に移動する 「ブリゼ・ドゥ・コテ(Brisé de côté)」 が最も一般的です。
ブリゼの種類
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ブリゼ・ドゥ・コテ(Brisé de côté)
横へ移動する最も基本的な形。 -
ブリゼ・ドゥヴァン(Brisé devant)
前側で足を交差させるタイプ。 -
ブリゼ・デリエール(Brisé derrière)
後ろ側で足を交差させるタイプ。
このように、足の前後や方向によってさまざまなバリエーションがあります。
ブリゼを美しく見せるポイント
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小さく素早く跳ぶこと
高く大きなジャンプではなく、軽やかに素早く跳ぶのがコツです。 -
足の交差を明確に
空中での足の入れ替えをはっきりと見せることで動きにキレが出ます。 -
体幹を安定させる
上半身がブレると足さばきが乱れてしまうので、腹筋・背筋を意識して軸を保ちます。 -
音楽性を重視
ブリゼはリズミカルな動きが求められるため、音楽にぴったり合わせて跳ぶことが大切です。
よく登場する場面
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コンクール課題曲やヴァリエーション
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「眠れる森の美女」や「ラ・バヤデール」などのクラシック作品
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アレグロ(速い動き)の練習やヴァリエーションの中間部
ブリゼは派手な技ではありませんが、踊り全体の質感を上げる「つなぎのジャンプ」として欠かせない動きです。
まとめ
ブリゼ(Brisé)は、小さなジャンプでありながらスピード感と軽やかさを表現できる、バレエならではのステップです。
足の交差や着地の正確さが求められるため、地道な基礎練習が重要ですが、その繊細な美しさは観客の目を引きます。
「小さなステップの積み重ねが、大きな芸術を作る」——ブリゼはその典型とも言える動きです。
📖 参考リンク: ABT Ballet Dictionary – Brisé
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