甲出し矯正の落とし穴:無理な押しつけストレッチはNG!

美しい「甲」は憧れ。でも…

バレエをしている人なら誰もが一度は憧れる、「高くて美しい甲」。

InstagramやYouTubeで見る、海外バレリーナたちのアーチのかかった足先に惚れ惚れしたことがある方も多いはずです。

そんな美しい足先を目指して、多くの人が「甲出し矯正」や「足の甲ストレッチ」に取り組んでいます。

でも、ちょっと待ってください。

そのストレッチ、やり方を間違えると逆効果かもしれません。


よくある危険な“間違った矯正法”

❌ 足の甲を手や器具で「押しつけて伸ばす」

ポワントがきれいな子の足を見て、「ああなりたい!」と思う気持ちはよく分かります。

しかし、よくあるのが…

  • 手で強く足の甲を押す

  • 誰かに足を上からグッと体重をかけて押してもらう

  • インターネットで見つけた「甲出し器具」を毎日使う

このような行為は、足の構造そのものを壊すリスクがあります。


なぜ「押しつけ」は危ないのか?

① 関節や靭帯へのダメージ

足の甲は、たくさんの細かい骨と関節で構成されています。
無理な力を加えると、関節に炎症が起きたり、靭帯を傷める原因に。

② 成長期には特に危険

10代前半など、成長段階にある子どもの足はまだ柔らかく不安定。
骨がまだ完全に固まっていないため、無理なストレッチで変形することも。

③ アーチの“形”だけを求めてしまう

バレエに必要なのは、「見た目」だけでなく「使える甲」。
無理に出した甲は、コントロールできないため、実際の踊りで使いものにならないことが多いのです。


本当に必要なのは「甲を出す準備」

美しい甲を作るためには、見た目を“無理に”作るのではなく、内側から出す意識が大切です。

🔑 ポイントは3つ!

1. 可動域の拡大(柔軟性)

→ 足首、足の甲、足指周辺の筋肉や腱を“安全に”伸ばすストレッチを継続的に。

2. 筋力の強化(コントロール)

→ 甲を出すための筋肉(足底筋・後脛骨筋・腓腹筋など)を鍛える。

3. 神経系のトレーニング(感覚の鋭さ)

→ 足指の分離トレーニングや、ルルヴェ時の足裏感覚トレで、「自分の力で」美しいアーチを出せるように。


おすすめの“安全な”甲出し習慣

✅ 足指のグーチョキパー運動

→ 足指の独立性を高め、甲の操作性がUP。

✅ セラバンドでの足首底屈トレーニング

→ 甲を出す方向に力を入れる感覚を育てる。

✅ タオルストレッチ(無理な押しつけなし)

→ 自分の力で調整できる安全なストレッチ。

✅ 床に正座+ハーフポワントでじわっと伸ばす

→ 骨に負荷をかけず、自然に甲を出せる。


SNSや動画に惑わされないで!

最近はSNSなどで、「一週間で甲が出る!」などの動画や投稿が拡散されています。

しかし、それらの多くは

  • 長年のトレーニングを経た人

  • 生まれつき関節が柔らかい人

  • リスクを理解していない一時的なアプローチ

であることがほとんどです。

人と同じ方法が、自分に合っているとは限りません。


まとめ:「使える甲」を目指そう

バレエにおいて本当に大切なのは、
「見せる」甲ではなく「使える」甲です。

ただ形だけ整えるのではなく、
自分の力で伸ばして、支えられて、コントロールできる甲

焦らず、コツコツ。
安全な方法で取り組めば、必ず変わってきます。

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