クラシックバレエの代表的なポーズのひとつに 「アチチュード(Attitude)」 があります。
柔らかく膝を曲げた脚を持ち上げ、上体と調和させて作られるこのポーズは、アラベスクと並んでバレエの美しさを象徴する姿勢。舞台上では優雅さや気品を際立たせるために頻繁に使われ、観客の印象に強く残ります。
アチチュード(Attitude)の意味とは?
「Attitude」はフランス語で「姿勢」「態度」という意味を持ちます。
バレエにおけるアチチュードは、片脚で立ち、もう一方の脚を上げて膝を曲げた状態で保つポーズ を指します。
18世紀イタリアの彫刻「水差しを持つメルクリウス像」が由来と言われ、その柔らかなラインがバレエに取り入れられました。
アチチュードの基本ポジション
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支持脚
片脚でしっかりと立ち、体を安定させます。つま先は床を強く押し、上体を引き上げる意識を持ちます。 -
動脚
もう一方の脚を前・横・後ろに持ち上げ、膝を必ず曲げる のが特徴。太ももは高く、膝から下のラインで優雅さを作ります。 -
腕の位置
上げる方向に応じて、アン・ナヴァンやアン・オーなどを組み合わせ、ポーズの完成度を高めます。
アチチュードの種類
アチチュードにはいくつかのバリエーションがあります。
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アチチュード・ドゥヴァン(Attitude Devant)
前方向に脚を上げる。柔らかさや気品を表現できる。 -
アチチュード・デリエール(Attitude Derrière)
後方向に脚を上げる。最も一般的で、アラベスクに似ているが膝が曲がっている点が異なる。 -
アチチュード・エカルテ(Attitude Écarté)
体を斜めに開いた状態で脚を上げる。舞台上で存在感のあるポーズ。
アチチュードの練習ポイント
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股関節から動かす
膝だけを曲げるのではなく、太ももをしっかり持ち上げ、股関節から開く意識を持ちましょう。 -
背中と腰の柔軟性を高める
特に後ろアチチュードでは、腰がつぶれると美しいラインが出ません。背中から脚を持ち上げる感覚を大切に。 -
膝の位置を意識する
膝は横に逃げず、観客に正面から見せられる位置に保つことでラインがきれいに見えます。 -
腕と視線で表情をつける
脚の形だけでなく、腕や視線によって印象が大きく変わります。優雅さや力強さを意識して練習しましょう。
舞台でのアチチュードの役割
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アダージオの見せ場
ゆったりしたパートで長く保持することで、観客を引き込む効果があります。 -
バリエーションでのジャンプや回転
「アチチュード・ピルエット(アチチュードの形で回転する技)」など、技術を見せる場面にも使われます。 -
物語表現
柔らかさ・優雅さ・祈りや憧れといった感情を象徴することも多く、ストーリーに深みを与える役割を果たします。
アチチュードが上達するとどうなる?
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アラベスクやデヴェロッペなど他のポーズが安定する
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回転技(ピルエット)の精度が上がる
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舞台で「静止の美」がより印象的になる
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写真や映像でのシルエットが美しく映える
つまり、アチチュードを極めることは 技術面と表現面の両方を高める近道 です。
まとめ
「アチチュード(Attitude)」は、クラシックバレエにおける 優美で象徴的なポーズ です。
膝を曲げた柔らかなラインが特徴で、表現力を磨くうえで欠かせない姿勢。
日々のレッスンでは、股関節の使い方や背中の柔軟性を意識しつつ、腕・視線・上半身の表情も含めて練習することで、舞台で観客を魅了できるアチチュードへと近づきます。
👉 参考リンク:Ballet Dictionary – Attitude|American Ballet Theatre