足裏で感じる:バレエの“重心コントロール”を極めるための体幹ワーク

ポワントに立ったとき、ピルエットで軸を保つとき、アラベスクで遠くを見つめるとき。

どんな場面でも必要なのが、**「重心を感じてコントロールする力」**です。

しかし、バレエでよく耳にする「軸をとって」「おへそから上げて」「センターで立って」といった言葉。頭では分かっていても、**実際にどう“感じれば”いいのか分からない…**という方も多いのではないでしょうか。

今回は、足裏から重心を感じる感覚を育て、それを体幹とつなげていくワークをご紹介します。


■ 重心感覚がなぜ大切なのか?

重心感覚とは、**「自分の体のどこに重さがあるか」**をリアルタイムで感じられる力のこと。
これが育っていないと、以下のようなトラブルが起こります:

  • ルルヴェやポワントでぐらつく

  • 足が先に動いて身体がついてこない

  • 回転中に軸がズレてしまう

  • 上半身と下半身がバラバラに見える

逆に、重心を「足裏」で正確に感じられるようになると、動きの安定感・コントロール力・見た目の美しさが飛躍的に上がります。


■ 感じるのは“足裏3点”と“丹田”

重心を感じる第一歩は、足裏3点の意識です。

  • 親指のつけ根(母趾球)

  • 小指のつけ根(小趾球)

  • かかとの中心

この3点でしっかりと床を感じることで、足のアーチが安定し、立ち姿が整います。
そして、この3点を意識しながら、おへその下3cmのあたりにある「丹田(たんでん)」に集中すると、下腹から体幹の軸が自然と立ち上がってきます


■ 自宅でできる体幹&重心感覚トレーニング

① タオルグリップワーク(足裏覚醒)

やり方:

  1. 床に薄手のタオルを広げ、椅子に座る

  2. 足の指でタオルをたぐり寄せる

  3. 5回繰り返す

効果:
足裏の細かい筋肉を目覚めさせ、床との接地感が高まります。


② ペン立てピルエット(重心ライン意識)

やり方:

  1. 鉛筆またはペンを立てて、その真上に片足で立つ

  2. 背骨を“ペンの延長”と意識しながらルルヴェへ

  3. 重心がずれたらすぐに調整

効果:
目に見えるラインと自身の軸を一致させることで、“感じる重心”から“制御する重心”へと進化できます。


③ ボールで丹田スイッチ

用意するもの:
柔らかいピラティスボールまたは折りたたんだタオル

やり方:

  1. ボールを椅子に置いて座る

  2. おへその下に軽く力を入れて、ボールを下に押す意識

  3. そのまま深く呼吸

効果:
丹田を意識しやすくなり、体幹が無意識にONになります。ポワントやジャンプへの準備にも◎。


■ クラス中の“重心チェック”習慣

どんなにトレーニングしても、レッスン中に意識できなければ意味がありません。
そこでおすすめしたいのが、「セットポジション前の一瞬チェック」

  • バーレッスンで:プリエの前に足裏3点を感じる

  • センターで:トンベ→パ・ド・ブレの前に丹田を意識

  • ジャンプの前:沈む瞬間に足裏で床を「感じる」

このように、動き出す“前”の0.5秒を大切にすることで、無意識の重心コントロールが磨かれていきます


■ 最後に:重心は“感じる力”から磨かれる

バレエでの技術向上は、筋力だけでなく、**身体の「センサー感覚」**を磨くことが必要です。
足裏、丹田、呼吸、背骨、視線… すべてを「感じられる人」こそが、美しく踊れる人。

今日からぜひ、足裏と重心のつながりを意識してみてください。
その一歩が、あなたの踊りを芯のある美しさへと導いてくれます。


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