世界の若いダンサーたちが憧れる舞台、YAGP(Youth America Grand Prix)。
このコンクールに出場することは、多くの子どもたちにとって「夢への第一歩」です。
でも実際、「小学生からどんな準備をすればいいの?」「早すぎない?」という質問をよくいただきます。
ここでは、小学生のうちからYGP出場を目指すための具体的なステップを、指導者の視点から丁寧にお伝えします。
🎀 1. 小学生の時期は「土台づくり」がすべて
YGPを目指すには、まず正しい基礎と体づくりが欠かせません。
この時期に焦って難しい技を覚えるよりも、体の使い方・姿勢・足のライン・柔軟性など、
「美しく踊るためのベース」を丁寧に育てていくことが大切です。
先生のコメント:
「小学生の頃は、”回転の数”よりも”正しいポジション”を身につける時期です。
バレエの基礎がしっかりしていれば、中学生以降の成長が驚くほどスムーズになります。」
✅ チェックポイント
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バーレッスンで正確な5番ポジションを意識
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体幹を使った姿勢保持の練習
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柔軟性・筋力バランスの維持(ストレッチ+自重トレ)
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ピルエットやアラベスクの形よりも“正しいフォーム”を優先
🌱 2. 音楽性と表現力を育てる
YGPでは技術だけでなく、表現力も高く評価されます。
小学生のうちから、音楽を“聞いて動く”感覚を育てておくと、後々の踊りの幅が広がります。
先生のコメント:
「感情を乗せて踊る力は、年齢に関係なく育てられます。
まずは音楽のフレーズを感じ取り、表情で伝える練習を楽しみましょう。」
✅ おすすめ練習法
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音楽のリズムに合わせて自由に踊る「即興(インプロ)」の時間を取り入れる
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物語性のある作品(眠れる森の美女・白鳥の湖など)を観て、登場人物の感情を考える
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表情や手の動きで「喜び」「悲しみ」「緊張」などを表現してみる
🩰 3. 正しい指導者と環境を選ぶ
YGPを目指すには、国際基準を理解した指導者やスクール選びも重要です。
ただし、早い段階で「コンクールばかり」に偏るのは避けましょう。
小学生の間は、成長段階に合わせて無理のない練習を行うことが何より大切です。
先生のコメント:
「指導者との信頼関係があってこそ、長くバレエを続けられます。
“今は基礎を大切にする時期”と理解してくれる先生を選びましょう。」
✅ 良い指導環境のポイント
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基礎を重視している(発表会よりもレッスン内容)
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解剖学的に正しい体の使い方を指導してくれる
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生徒一人ひとりに合わせたアドバイスがある
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過度な減量や無理な練習を強いない
✨ 4. バリエーションへの導入:中学年〜高学年での挑戦
小学4〜6年生になると、徐々に**バリエーション(ソロ作品)**に挑戦できる子も増えてきます。
YGPを視野に入れるなら、このタイミングで「クラシック作品の理解」を始めましょう。
先生のコメント:
「最初のバリエーションは、技術よりも”自分らしさ”を見せられる作品が良いです。
難易度よりも、“どんなキャラクターを表現したいか”で選んでみましょう。」
✅ ステップアップの目安
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小学4年:基礎+ポアント導入
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小学5年:短いバリエーション練習
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小学6年:YGPジュニア部門を意識した作品練習
🌍 5. 英語と国際感覚を身につけよう
YGPは国際コンクール。英語でのやりとりや、海外の先生のレッスンにも慣れておくと大きな強みになります。
先生のコメント:
「英語は、“話す”よりもまず“聞く・理解する”ことが大切です。
バレエ用語の発音やレッスンでの英語指示を聞き取れるようにしておきましょう。」
✅ おすすめの準備
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バレエ英語フレーズを少しずつ覚える(例:“Arms softer” “Relax your neck.”)
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海外の舞台映像を英語解説付きで観る
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海外ワークショップやオンラインレッスンに参加してみる
🕊️ 6. 心の準備も忘れずに
YGPは「コンクール」ですが、比べる相手は“他人”ではなく“昨日の自分”です。
小学生のうちは、結果よりも舞台を楽しむ気持ちを大切にしてください。
先生のコメント:
「上手くいかない日があっても、それが“成長の途中”なんです。
自分を責めず、努力を認める習慣を持ちましょう。」
🎯 まとめ|YGPを目指す道のりは「早く始めるほど深く学べる」
YGPを目指すために小学生から準備を始めることは、決して早すぎません。
むしろ、「基礎」「音楽性」「表現力」「語学」「心の成長」など、
今しか育てられない力をじっくり磨く絶好の時期です。
バレエは長距離走。焦らず、今の一歩を大切に積み重ねていきましょう。