「足の甲は伸ばすもの?」——バレエにおける“正しい足の使い方”を見直そう

「もっと足の甲を出して!」「ポワントがつぶれてるよ」「足先まで意識して!」

バレエレッスンでよく耳にする言葉ですが、果たして「足の甲を出す」ことだけが目的になっていませんか?美しい足先のラインは、単に足首を伸ばすことではなく、足裏・足趾(足の指)・足首・ふくらはぎなどの協調した使い方によってつくられるものです。

今回は、「足の甲の伸ばし方」を中心に、足元からバレエのテクニックを支える考え方とトレーニング方法を深掘りしていきます。


🔍「甲を出す」=「足首を反らせる」ではない

バレエで「甲を出して!」と言われると、多くの方が足首を反らせて甲を無理やり押し出すように意識してしまいます。しかし、この動きが独立してしまうと、以下のようなリスクが生まれます。

  • 足の甲がつぶれる(つま先が外側に流れる)

  • 足首を痛める(過伸展による負担)

  • ポワントで立てなくなる(支点が不安定になる)

正しくは、足裏全体で床を捉え、足趾を長く使い、アーチを保った状態で足首を伸ばすことによって、立体的で安定した「美しい甲」がつくられます。


🦶足裏から甲をつくる:3つの感覚トレーニング

以下に、足の甲を安全かつ美しく使うための足裏の感覚トレーニングを3つご紹介します。

① 指の分離トレーニング(トーリフト)

目的:足の指1本1本を独立して使えるようにすることで、床を「つかむ」感覚を養う。

方法

  1. 椅子に座り、両足を床につける。

  2. 親指だけを上げて、他の指は床に置く。

  3. 次は親指だけを床に置き、他の指を上げる。

  4. できるだけゆっくり丁寧に繰り返す。

→ 足の指が「受け身」から「能動的」に変わると、甲のラインにも自然なハリが生まれます。


② タオルギャザー

目的:足趾と足底筋を鍛えて、アーチ(土踏まず)を保つ力を育てる。

方法

  1. タオルを床に敷き、足の指で手繰り寄せる。

  2. 踵は床から離さず、土踏まずを持ち上げるように。

  3. 10〜15回ほど繰り返す。

→ 足裏の筋肉が活性化することで、甲を伸ばすときにも「押しつぶされない力」がついてきます。


③ ドミング(アーチリフト)

目的:足裏のアーチを意識的に使い、足元から軸を感じる感覚を強化する。

方法

  1. 立位または座位で足を床につける。

  2. 指と踵は床につけたまま、土踏まずだけをそっと持ち上げる。

  3. 指に力が入りすぎないよう注意し、呼吸は自然に。

→ 軸足としての安定感が増すので、片足ルルベやポワントでも足首がグラつきにくくなります。


🧘‍♀️「美しい甲」より「安全な甲」の意識を

甲の伸びが美しいダンサーを見ると、「あの足に憧れる!」と思う気持ちもあるでしょう。しかし、柔らかさや可動域の大きさだけを追求するのは危険です。

本当に大切なのは、足の裏で床を押す力・バランスを取る力・動きに合わせて甲の角度を調節する力。こうした「見えない力」が、美しいラインを支えているのです。


🌱まとめ

  • 「足の甲を出す」は、足首だけの話ではない

  • 足裏・足趾・足底筋の連動が、美しい甲と安定した動きを生む

  • 足の感覚トレーニングは、ケガの予防にもなる

  • 足元から身体全体の軸を育てよう

バレエのテクニックは、華やかに見える上半身の動きも、地味な足裏の努力の上に成り立っています。

毎日のレッスンの中に、足の感覚を磨く時間を取り入れてみてください。きっと、あなたのバレエが「変わった」と感じる日が来るはずです🩰✨

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