バレエのレッスンやリハーサル、舞台本番のあと、体は全身の筋肉をフル稼働させています。特にバレエは、脚や体幹の強い使い方に加え、背中や腕の繊細なコントロールも必要となるため、知らないうちに全身が疲労し、筋肉が硬くなってしまいます。
プリエのヒントとコツ:美しいラインと安定感を手に入れるために
踊った後にストレッチを怠ると…
- 筋肉痛や疲労が抜けにくい
- 筋肉が硬まってケガにつながる
- 姿勢が崩れやすくなる
- 翌日のレッスンで動きが鈍くなる
反対に、全身をリセットするストレッチを習慣化すれば、疲労が抜けやすく、筋肉がしなやかに保たれ、踊りの質もアップします。ここでは、踊った後に必ず取り入れたい全身リセットストレッチを紹介します。
1. 首と肩のリリース(上半身の疲れを取る)
方法
- 背筋を伸ばして座るか立ちます。
- 頭をゆっくり片側に倒し、首の横を伸ばします。
- 次に顎を軽く胸に近づけて、首の後ろを伸ばします。
- 肩を大きく前後に回してほぐしましょう。
ポイント
- 首は「引っ張らずに、重みで伸ばす」イメージ。
- 肩甲骨を意識して回すことで、腕の疲労も抜けます。
2. キャット&カウ(背骨の調整)
方法
- 四つん這いになり、肩の真下に手、腰の真下に膝を置きます。
- 息を吐きながら背中を丸め(キャット)、吸いながら背中を反らせます(カウ)。
- 背骨全体をなめらかに動かしましょう。
ポイント
- 背骨の可動域を取り戻すことで、腰や背中の疲れが和らぎます。
- 5〜10回を目安に。
3. 前屈ストレッチ(ハムストリングと腰をほぐす)
方法
- 足を腰幅に開いて立ちます。
- 息を吐きながらゆっくり前に倒れ、上半身の重みを預けます。
- 膝は軽く緩めてもOK。
ポイント
- 太ももの裏と腰を同時にリセット。
- 腰を引っ張らず、頭や腕の重さで自然に伸ばすイメージ。
4. 股関節のストレッチ(開脚リカバリー)
方法
- 座って足を大きく開きます。
- 息を吐きながら前に倒れ、股関節から深く曲げます。
- 片側に体を倒して、内もも(内転筋)も伸ばしましょう。
ポイント
- 無理に広げず、呼吸とともにじんわり伸ばす。
- レッスンで酷使した開脚やターンアウトの回復に最適。
5. 太もも前側ストレッチ(大腿四頭筋)
方法
- 横向きに寝転がります。
- 下の腕を枕にして、上の膝を曲げて足首を手でつかみます。
- かかとをお尻に近づけて太ももの前を伸ばします。
ポイント
- 骨盤を前に押し出す意識を持つと効果アップ。
- ジャンプやプリエで酷使した前腿をリセットできます。
6. 背中&腰のリラックスストレッチ(チャイルドポーズ)
方法
- 正座から、息を吐きながら上体を前に倒し、両手を前に伸ばします。
- おでこを床につけ、背中全体をリラックス。
ポイント
- 腰の緊張をほどき、呼吸も整えられる。
- 30秒ほどじんわりキープ。
7. ふくらはぎストレッチ(アキレス腱・下腿部)
方法
- 壁に手をつき、片足を前に出して膝を曲げ、後ろ足は伸ばします。
- 後ろ足のかかとを床につけて、ふくらはぎを伸ばします。
- 反対も同様に。
ポイント
- レッスンや舞台で酷使する下半身の疲労を和らげる。
- シンプルだけど毎回やりたい必須ストレッチ。
ストレッチを効果的にするポイント
- 呼吸を止めない:伸ばすときに「吐く」ことで筋肉が緩みやすくなる。
- 反動をつけない:じんわり静かに伸ばすのが安全。
- 全身のバランスを意識:上半身・下半身・体幹すべてを整える。
まとめ
バレエは全身運動だからこそ、踊ったあとのケアも全身で行うことが大切です。
- 首・肩 → 疲労を取り、デコルテを開く
- 背骨 → 可動域を整える
- 太もも・股関節 → レッスンで酷使した筋肉をリセット
- 腰・背中 → 緊張を解き、呼吸を整える
- ふくらはぎ → ジャンプやルルヴェの疲れをほぐす
これらを10〜15分のルーティンにまとめるだけで、翌日の体が軽くなり、怪我予防にもつながります。
「レッスンの締めくくりはストレッチまで」——この習慣が、長く踊り続けるための秘訣です。