クラシックバレエのレッスンや舞台で頻繁に登場するステップのひとつが 「グリッサード(Glissade)」 です。
フランス語で「滑る」という意味を持ち、その名の通り、床を滑るように軽やかに移動する動作を指します。
単独で見ればシンプルですが、ジャンプや回転の前後につなぐ「橋渡し」として欠かせない存在で、踊りの流れを自然かつ優雅に見せる役割を担っています。
グリッサードの意味と役割
「Glissade」はフランス語で「滑る」という言葉からきています。
バレエでは、両足を使って横・前・後ろに軽く跳び移る移動動作 のことを指します。
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ジャンプや大きなステップの準備
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方向転換や立ち位置調整
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動きと動きをつなぐ流れの演出
など、踊りの中で目立たないようでいて非常に重要な役割を果たしています。
グリッサードの基本の動き
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プリエ(膝を曲げた姿勢) からスタート
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片足を横や前後に滑らせるように伸ばす
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もう片足で軽く床を蹴り、両足を揃えるようにして跳び移る
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最後はプリエで着地し、次の動きにつなげる
ポイントは「軽く、滑らかに」。大きく跳ぶのではなく、床をすべるように移動するイメージが大切です。
グリッサードの種類
1. グリッサード・ドゥ・コテ(横へのグリッサード)
最も基本的な横方向の移動。ほとんどのレッスンで練習します。
2. グリッサード・アン・アヴァン(前へのグリッサード)
前方へ移動しながら行うタイプ。舞台で前に出るときや流れを前進させるときに用いられます。
3. グリッサード・アン・アリアール(後ろへのグリッサード)
後方へ移動。バリエーションや群舞でよく使われます。
4. グリッサード・プティ(小さなグリッサード)
動きを控えめに、足運びを細かく見せるタイプ。軽やかで上品な印象を与えます。
美しいグリッサードのコツ
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足先をしっかり伸ばす → 床をすべるようにすることで美しく見えます。
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重心を高く保つ → 上に引き上げながら動くと軽やかさが出ます。
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上半身を固めない → 下半身は素早く動いても、腕や顔は優雅さを失わないこと。
舞台での使われ方
グリッサードは単独で目立つことは少ないですが、大きなジャンプ(グラン・ジュテなど)や回転(ピルエットなど)の前後 に必ずと言っていいほど入ります。
たとえば「グリッサード → ジェッテ」や「グリッサード → アッサンブレ」など、他のステップを引き立てる「準備・つなぎ」の役割を果たします。
つまり、グリッサードを丁寧に行えるかどうかで、その後のステップの美しさが大きく変わるのです。