大人からバレエを始めると、多くの人が最初にぶつかる壁が「柔軟性」。
「開脚が全然できない」「前屈で手が床につかない」「脚を高く上げたいけど上がらない」——そんな悩みを抱える人は少なくありません。
しかし、柔軟性は“生まれつき”ではなく、“正しい方法でコツコツ続ける”ことで確実に変わっていくものです。
ここでは、20代からバレエを始める大人に向けて、無理なく柔軟性を高めるストレッチ法と、効果を感じるための習慣を紹介します。
なぜ大人は柔軟性が落ちやすいのか
子どもと比べて大人が硬くなるのは、筋肉や関節の「使われ方」が変わるからです。
デスクワーク中心の生活では、同じ姿勢が続くことで筋肉が緊張したまま固まり、血流も滞りやすくなります。
特に股関節や太もも裏(ハムストリングス)、背中の柔軟性が落ちることで、バレエで必要な可動域を制限してしまいます。
しかし逆に言えば、これらを意識的にほぐし、可動域を取り戻すことで、美しいポジションやしなやかな動きが可能になります。
柔軟性アップの基本は「リラックス+継続」
ストレッチで最も大切なのは、無理に伸ばすことではなく「リラックスした状態を保つこと」。
体が緊張していると筋肉が反射的に縮もうとするため、伸びにくくなります。
呼吸を止めず、息を吐きながらじわ〜っと伸ばしていくのがコツです。
柔軟性アップの3つの原則
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お風呂上がりがベストタイミング
体が温まっていると筋肉が柔らかくなり、伸びやすくなります。 -
「痛気持ちいい」で止める
痛みを我慢すると逆効果。軽い刺激でOKです。 -
毎日5〜10分でも続ける
長時間よりも「毎日」が大事。継続が一番の近道です。
おすすめストレッチ① 前屈ストレッチ
太もも裏や背中をゆるめる基本ストレッチです。
やり方:
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座って両脚を前に伸ばします。
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背筋を伸ばし、息を吐きながら上体をゆっくり前に倒します。
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太もも裏の伸びを感じながら20〜30秒キープ。
ポイント:
背中を丸めず、みぞおちを太ももに近づけるように意識すると効果的です。
おすすめストレッチ② バタフライ(股関節ほぐし)
股関節を柔らかくして、ターンアウト(脚を外に開く動き)をしやすくします。
やり方:
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座って足裏を合わせ、かかとを体に引き寄せます。
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背筋を伸ばして、両膝を上下に軽く揺らします。
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そのまま前に倒れて股関節をじんわり伸ばします。
ポイント:
背中を丸めず、胸を張ったまま前に倒れることで股関節の奥がしっかり伸びます。
おすすめストレッチ③ 開脚ストレッチ
美しいアラベスクやデヴェロッペには欠かせない柔軟性。
やり方:
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座って脚をできる範囲で開きます。
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両手を前について、息を吐きながら上体を少しずつ前へ。
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30秒キープ×2〜3セット。
ポイント:
床にべったりつかなくても大丈夫。
毎日続ければ少しずつ角度が広がっていきます。
おすすめストレッチ④ 背中・体側ストレッチ
姿勢の美しさは、背中のしなやかさから。
やり方:
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座って片腕を頭の上に伸ばします。
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反対側にゆっくり倒して、体の側面を伸ばします。
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反対側も同様に行い、各20秒ずつキープ。
ポイント:
肩が上がらないように意識し、深く呼吸を続けましょう。
柔軟性アップのための生活習慣
1. 水分をしっかりとる
筋肉の柔らかさを保つためには水分が不可欠。ストレッチ前後にコップ1杯の水を飲みましょう。
2. 姿勢を意識する
普段の立ち方・座り方が柔軟性にも影響します。骨盤を立てて座る、猫背を防ぐなど、小さな意識の積み重ねが大切です。
3. 筋トレと組み合わせる
筋肉が柔らかくなると同時に、関節を支える筋力も必要。
体幹や内転筋のトレーニングを取り入れることで、柔軟性と安定感が両立します。
柔軟性が上がると、踊りが変わる
柔軟性が上がると、バレエの動きに余裕が生まれ、表現の幅も広がります。
脚を高く上げることだけでなく、動き出しやポジション移行がスムーズになり、全体のラインが美しくなります。
20代からでも体はしっかり変わります。
焦らず、丁寧に、自分のペースで続けていくことが上達の一番の近道です。
まとめ
柔軟性は「才能」ではなく「習慣」。
毎日の小さな積み重ねが、半年後、一年後に大きな変化となって現れます。
ストレッチは体との対話。無理をせず、呼吸を大切にしながら、自分のペースで“しなやかなバレリーナボディ”を目指していきましょう。
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