「甲が出ないのは体質だから…」とあきらめていませんか?
バレエを踊る多くのダンサーが一度は抱える悩み、それが「甲(あしのこう)が出ない」という問題。
Instagramや舞台で見るような、ぐっとアーチのある美しい足元に憧れるけれど、鏡に映る自分の足はどこか平ら…。
「自分は元々甲がないから」と諦めかけている方にこそ伝えたいのは、“甲の出し方”にはコツがあるということです。
今回は、甲の美しさを引き出すために見直したい3つの視点を紹介します。体質だけのせいにする前に、ぜひ読んでみてください。
1. 「甲を出す=足首を伸ばす」ではない!
よくある誤解:
「甲を出したい!」と思うと、多くの人が足首(アキレス腱周辺)を“後ろに押す”ように伸ばすことに意識を集中させてしまいます。
しかしこの動きだけでは、足のラインはむしろ“のぺっと”して見えることがあります。
見直すポイント:
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甲は「足首」だけで作られるのではなく、「足の指」「足裏」「中足骨」の連動で出てくる
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単純に足首を伸ばすだけではなく、指先で床を押すような意識や足裏全体のアーチを使う意識が大切
実践トレーニング:
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床に足を置いたまま、足指で床をつかむ→伸ばすをゆっくり繰り返す
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セラバンドを使って、指→中足骨→足首の順にしっかり伸ばす
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ポワントシューズの中でも「足裏で押し出す」意識を持つだけで見え方が変わる
2. 甲の“見え方”は脚全体の使い方で変わる
甲だけを一生懸命に出していても、他の筋肉が引き上がっていなければ美しく見えません。
よくあるケース:
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ポワントで立つと、膝がゆるんで足首が埋もれてしまう
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内腿やお尻が使えず、脚のラインがぼやける
見直すポイント:
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脚全体、特に膝上から内腿・お尻の筋肉を引き上げておくことで、甲が“自然と浮き上がる”ように見える
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バーのルルヴェで「膝を通して床を押す→指先までつなぐ」という意識を練習
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足だけでなく、「体幹から足へエネルギーを流す」感覚を持つ
3. “見せ方”も甲の美しさに影響する
意外な視点ですが、実は…
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視線、腕のポジション、首のラインなど、上半身の使い方が“足元の印象”を左右することがあります
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甲が目立たない原因が、ポーズ全体のバランスや角度にあるケースも
見直しのヒント:
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鏡の前で、アラベスクやピケなどの静止ポーズを撮って、足元がどのように映っているかを確認する
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わずかな角度調整(膝の方向や足の出し方)で甲の見え方が劇的に変わることがあります
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一流ダンサーの写真をよく観察して、「どこに体重が乗っているか」「指先の向きはどうなっているか」などを研究してみましょう
まとめ:美しい“甲”は、育てていける
「甲が出ない」と悩んでいる多くのダンサーは、体の使い方や意識の向け方に改善の余地がある場合がほとんどです。
もちろん、もともとアーチの深い足を持つ人もいますが、それ以上に大切なのは、全身で“美しく見せる”工夫を積み重ねること。
「甲がないからダメ」とあきらめるのではなく、
「どう見せるか」「どう育てるか」を考えることで、踊り全体のクオリティも一緒に上がっていきます。