「お客様満足」が最優先なら、成立しない世界
スクールを運営している中で、近年特に強く感じることがあります。
それは、バレエスクールが「サービス業」のように扱われる場面が増えていることです。
もし「お客様満足」が最優先なら、
嫌なことは言わない方がいいでしょう。
厳しい注意もしない方がいいでしょう。
生徒が落ち込まないよう、常に気分良く帰ってもらうことを優先する方が、短期的には運営しやすいのかもしれません。
ですが、本来のクラシックバレエは、そのような世界ではありません。
何度も同じことを繰り返し、
基礎を積み重ね、
注意され、
修正され、
長い時間をかけて少しずつ身体を変えていく。
華やかに見える舞台の裏には、地道で終わりのない積み重ねがあります。
そして、それを支えるには、「迎合」ではなく、指導する側の明確な基準が必要です。
「保護者対応」が中心になり始める危うさ
近年は、習い事全体が「保護者満足」を強く求められる時代になっているようにも感じます。
もちろん、保護者との信頼関係は非常に大切です。
しかし、その比重が大きくなりすぎると、教育そのものが少しずつ変質していきます。
本来、生徒のために必要な指導であっても、
「厳しく見えないか」
「保護者にどう思われるか」
「不満につながらないか」
を過度に気にし始めると、次第に“指導”より“配慮”が優先されるようになります。
すると、教師側も無意識のうちに、
生徒ではなく保護者の顔色を見るようになっていきます。
それは、クラシックバレエ教育にとって、とても危険な状態だと感じています。
バレエは本来、
短期間で結果を保証するものではありません。
地道な反復、
継続、
修正、
忍耐。
そうした時間の積み重ねの中でしか、身体も感覚も変わっていかない世界です。
だからこそ、スクール側まで「ご機嫌取り」に近い状態になってしまうと、長期的には教育の質そのものが崩れていきます。
「お客様」ではなく、「学ぶ側」として向き合う
当スクールでは、
生徒を単なる「お客様」としてではなく、
一人ひとりが長い時間をかけて学んでいく存在として向き合っています。
そのため、ときには厳しく感じることもあるかもしれません。
ですが、それは否定ではなく、
本気で指導に向き合っているからこその言葉です。
クラシックバレエには、本来、世界共通の礼儀や秩序があります。
静かな集中環境、
教師への敬意、
仲間への配慮、
継続する姿勢。
そうした土台の上に、技術や芸術が積み重なっていきます。
だからこそ当スクールでは、
「誰にでも合わせること」よりも、
落ち着いた環境を維持し、
真剣に学びたい人が集中できることを重視しています。
教育の場である以上、
すべての要望を通すことが正しいとは考えていません。
時代が変わっても、
バレエの本質そのものは、簡単には変わらないと思っています。
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