「バレエって、頭ではわかっていても体がついていかない…」
そう感じたことはありませんか?特に大人からバレエを始めた方にとって、「体の使い方の感覚」がつかめないという壁はよくある悩みです。
でも安心してください。それは才能の問題ではなく、「感覚が育っていないだけ」なんです。今回は、バレエの感覚(ボディ・アウェアネス)を育てるための具体的なトレーニングと考え方をご紹介します。
なぜ“感覚”が大事なのか?
バレエは、筋肉や骨の動きを正確にコントロールしながら、美しさを表現する芸術です。そのためには、筋力や柔軟性だけでなく、
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体のどこが使われているのか
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正しい位置にあるのか
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どれくらいの力加減が最適か
といった「自分の体を内側から感じ取る能力=感覚」が必要になります。これはスポーツでいうところの「身体操作能力」に近く、地道に育てていくことで誰でも向上します。
感覚を育てる3つのアプローチ
① 鏡に頼りすぎない
スタジオに鏡があるとつい視覚に頼りがちですが、バレエの本質は“内側の感覚”です。たとえば、
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鏡を見ずにポールドブラをしてみる
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パッセで目をつむって軸を感じてみる
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プリエのときに「どこに体重が乗っているか」を言葉にする
こうした練習を通じて、視覚ではなく身体の声を聞く習慣が育ちます。
② イメージトレーニングの活用
プロのダンサーも活用しているのが、イメージトレーニングです。たとえば、以下のようなイメージは、動きの質を一気に高めてくれます。
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背骨が風船の糸のように引き上がる
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股関節がドアの蝶番のように動く
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アームスが水面を撫でるように動く
これらは、筋肉に直接命令するよりもスムーズに動きが伝わることがあり、**“感覚の言語化”**とも言えます。
③ 感覚を言葉にする習慣
バレエレッスンのあとに、「今日はここが軽くなった」「足の裏がよく感じられた」「肩が抜けてしまった」など、自分の感覚を言葉にしてメモする習慣を持ちましょう。
これは、自分だけの「バレエノート」として活用でき、成長の記録にもなります。
例えば:
日付 | 感じたこと | 改善したいこと |
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7/29 | ルルヴェで軸が安定した!足裏が意識できた | プリエでまだ内ももが抜ける感じあり |
このように、感覚を「見える化」することで、自分の課題や成果が明確になり、次のステップへのヒントになります。
ワンポイント:おすすめ練習法「床で感じる身体」
おすすめの感覚トレーニングに、「床に寝た状態での身体チェック」があります。
やり方
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仰向けになって、自然に寝る
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頭・肩甲骨・肋骨・骨盤・脚の裏側がどのように床についているか感じる
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左右差や浮いている部分を確認する
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軽く骨盤を揺らしたり、腕を回して床との接地感を感じる
この練習は背骨や骨盤のニュートラルポジションを体感的に学べるため、立って動くときにも効果を発揮します。
感覚を磨くことは、自信につながる
感覚が育つと、自分の身体がわかってきます。わかってくると、「あ、今日は調子がいいな」「この筋肉、今日はお休みさせよう」といったように、自分の状態に合ったレッスンができるようになります。
その結果:
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無理のない動きができる
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表現力が上がる
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バレエがもっと楽しくなる
つまり、「私はできる」という感覚が、自信と楽しさにつながるのです。
まとめ:感覚は“筋トレ”と同じ。繰り返せば育つ!
感覚は生まれ持った才能ではありません。視覚に頼らず、体の声を聞き、イメージで補い、言葉で整理することで、誰でも育てることができます。
毎日のレッスンや生活の中で、「今日はどんな感覚があったか?」を意識してみてください。あなたの中の“ダンサーとしての軸”が、静かに育ち始めるはずです。