バレエのレッスンで「骨盤が前に出てるよ」「腰が反ってるよ」と注意されたことはありませんか? それらはすべて、**骨盤の傾き(ペルヴィック・ティルト)**に関わる問題です。
実は、骨盤は“動きの土台”とも言える重要な部位。傾きがわずかでもズレてしまうと、姿勢の崩れ、バランスの低下、ターンの軸ブレ、ジャンプ力の低下、さらにはケガの原因にもなります。
今回は「骨盤の傾きとバレエの関係」について、原因・チェック法・改善方法までわかりやすく解説します。
🔍 骨盤の傾きには3種類ある
まず、骨盤の傾きには主に3つのパターンがあります。
① 前傾(Anterior Tilt)
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特徴:腰が反り、腹筋が緩み、お尻が突き出る。
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バレエで起こりやすい例:アラベスクやカンブレのときに腰を反ってしまう。
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影響:背中・腰への負担、バランスの不安定さ、引き上げ不足。
② 後傾(Posterior Tilt)
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特徴:骨盤が後ろに倒れ、腰が丸くなる(猫背気味)。
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バレエで起こりやすい例:プリエやグランバットマンで骨盤が沈み込む。
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影響:ジャンプの力が逃げる、姿勢が低く見える、脚の可動域制限。
③ 側傾・ねじれ(Lateral Tilt / Rotation)
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特徴:左右どちらかの骨盤が高くなる or ねじれる。
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バレエで起こりやすい例:片足立ちやピルエット時に軸が崩れる。
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影響:回転軸のブレ、足の長さが左右で違って見える、膝や足首への負担。
🧍♀️ 自分の骨盤の傾きをセルフチェック!
簡単な方法で、自分の骨盤の傾きをチェックできます。
前後傾チェック方法
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壁にかかと・お尻・肩甲骨・後頭部をつけて立つ。
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腰の後ろに手のひらを差し込む。
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手のひらがスカスカに入る → 前傾気味
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手のひらが入らないほど背中がついている → 後傾気味
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側傾チェック方法
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鏡の前でまっすぐ立つ。
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腰骨(ASIS)や肩の高さを左右比べる。
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どちらかが高ければ、骨盤が傾いている可能性あり。
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💡 骨盤の傾きを整えるトレーニングと意識
① 前傾を整えるには
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トレーニング:腹筋強化(ドローイン/レッグレイズ)、太もも前面のストレッチ
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意識:「恥骨を前に向けるように引き上げる」「下腹を中にしまう」
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おすすめ動き:タック(pelvic tilt)の練習 → 仰向けで腰を床に押し付けるように動かす
② 後傾を整えるには
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トレーニング:大腰筋・背筋の強化、ハムストリングのストレッチ
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意識:「坐骨で立つ」「腰を丸めない」
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おすすめ動き:壁スクワット → 骨盤を立てたまましゃがむ
③ 側傾・ねじれの改善には
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トレーニング:体幹トレーニング(サイドプランク、バードドッグ)
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意識:「左右均等に体重をかける」「肩と腰のラインを揃える」
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おすすめ動き:片足立ちバランス → 両足での重心の偏りを見直す
🩰 レッスン中の骨盤意識のコツ
バレエのレッスン中に、次のような「骨盤の意識ポイント」を持っておくと、日常的に整った状態がキープできます。
シーン | 骨盤の意識ポイント |
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バーレッスン(プリエ) | 骨盤を立て、尾骨を真下に向ける |
アラベスク | 腰を反らずに、下腹を引き込む |
ピルエット | 骨盤と肩のラインを平行に保つ |
グランジュテ | 骨盤を水平に保ったまま跳ぶ |
🎓 骨盤の安定がバレエの“品”を作る
バレエはただの「振付」ではなく、重力との戦いを美しく見せる芸術です。
骨盤という“土台”が安定していると、すべての動きに「品格」と「力強さ」が宿ります。逆に骨盤がブレていると、どんなに柔軟性があり、筋力があっても、美しいラインや軸はつくれません。
✨ まとめ:骨盤は「動きの美しさ」を決める軸
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骨盤はバレエの姿勢と動きの“土台”。
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わずかな傾きが、軸・回転・ジャンプ・怪我に影響。
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日常の立ち方・座り方・歩き方から見直すのが第一歩。
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正しいトレーニングと意識で、誰でも美しい骨盤バランスが手に入る。