フェッテ(Fouetté)とは?バレエの代表的な回転技を徹底解説

バレエの舞台で観客を圧倒する大技のひとつが 「フェッテ(Fouetté)」 です。特に『白鳥の湖』第3幕のオディールが披露する 「32回転フェッテ」 は、バレエファンなら一度は耳にしたことがある有名な見せ場でしょう。

フランス語で「鞭打つ」「しならせる」という意味を持つフェッテは、その名の通り、脚をしなやかに鞭のように振り出し、その勢いで回転を生み出すテクニックです。

舞台上で強烈なインパクトを残すこの回転技は、高度な技術と音楽性、そして強靭な体幹を必要とするため、バレエダンサーにとって大きな挑戦のひとつとされています。


フェッテの基本的な動き

フェッテにはいくつかの種類がありますが、代表的なのは 「フェッテ・アン・トゥールナン(Fouetté en tournant)」 です。

フェッテ・アン・トゥールナンの動きの流れ

  1. プリエから準備
    片足で立ち、もう片方の足を前または横に伸ばして準備します。

  2. 脚を鞭のように振る
    伸ばした脚を横から前に円を描くように振り込みます。この動作が「フェッテ」の名の由来です。

  3. 体幹を軸にして回転
    振った脚を素早く引き寄せ、その勢いで軸足で回転します。

  4. 着地して次の回転へ
    再びプリエで重心を落とし、次の回転に備えます。

この動きを連続して行うことで、有名な「32回転」などにつながります。


フェッテの種類

  • フェッテ・アン・トゥールナン(Fouetté en tournant)
    最も代表的な回転フェッテ。ソリストやプリマの見せ場で頻繁に登場します。

  • フェッテ・バッテリー(Fouetté Battu)
    脚を振る際に足首を打ち合わせる(バッテリー)動作を加えたもの。難易度が高いバリエーション。

  • フェッテ・ジュテ(Fouetté Jeté)
    跳躍を伴うフェッテで、舞台上を大きく移動しながら行います。


フェッテを美しく回るためのポイント

  1. スポッティング(目線の固定)
    回転の際に目線を一定の位置に素早く戻す「スポッティング」を徹底することで、方向感覚が失われず安定します。

  2. 体幹の強さ
    軸がブレると回転が流れてしまうため、腹筋・背筋・内転筋の強化が欠かせません。

  3. 脚の振りと引き寄せのタイミング
    フェッテの回転力は脚の振り込みと引き寄せで生まれます。音楽に合わせて正確に行うことが大切です。

  4. 呼吸とリズム
    連続フェッテでは呼吸が乱れると姿勢が崩れやすいため、一定の呼吸と音楽的リズムを意識しましょう。


フェッテの難しさと魅力

フェッテは、単に回転できれば良いわけではありません。

  • 回転を安定させる体幹の強さ

  • 正確なリズム感

  • 音楽と調和した表現力

これらすべてが揃ってはじめて「観客を魅了するフェッテ」になります。

そのため、プロのダンサーが舞台で32回転を成功させる瞬間は、観客に大きな感動と拍手を呼び起こすのです。


フェッテの代表的な作品

  • 『白鳥の湖』第3幕:オディールのヴァリエーション
    32回転フェッテの代名詞ともいえる場面。ダンサーの力量を示すクライマックス。

  • 『ドン・キホーテ』:キトリのヴァリエーション
    華やかで明るい音楽に合わせたフェッテが観客を盛り上げます。


まとめ

  • フェッテ(Fouetté) は「鞭打つ」という意味を持つバレエの代表的な回転技

  • 最も有名なのは「フェッテ・アン・トゥールナン(回転フェッテ)」

  • 美しく回るにはスポッティング・体幹・タイミングが必須

  • 『白鳥の湖』や『ドン・キホーテ』など名作バレエで多用される

フェッテは、ダンサーにとって挑戦的でありながら、観客にとっては忘れられない印象を残すステップです。もしレッスンで挑戦する機会があれば、基礎を大切にしながら少しずつ練習してみてください。


🔗 参考リンク


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