美しいラインを作るには、“上げる”より“つなげる”が大切!
アラベスクは、バレエを象徴するポーズのひとつ。
片足で立ち、もう一方の足を後方に大きく上げたその姿は、バレエの美しさを体現しています。
しかし、多くのダンサーが直面する悩みがあります——それが、
「足を上げようとすると腰が落ちる(そる)…」
「もっと高く足を上げたい!」という想いが、腰の崩れ・背中の反り・骨盤のゆがみを生み、美しいラインを遠ざけてしまうのです。
今回は、「腰が落ちてしまう原因」と「正しい股関節と体幹の使い方」を解説しながら、アラベスクを美しく安定させるための具体的なトレーニングと意識ポイントをご紹介します。
🔍 目次
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アラベスクで“腰が落ちる”とはどういうこと?
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よくある間違い:足を上げる=腰を反らせる?
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骨盤・股関節・体幹、それぞれの役割
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正しいアラベスクを作る3ステップ
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家でできる!アラベスク強化トレーニング5選
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まとめ:高くなくても美しいアラベスクを目指そう
1. アラベスクで“腰が落ちる”とはどういうこと?
バレエでいう「腰が落ちる」とは、骨盤が前に傾きすぎて、背中が反りすぎている状態のこと。
これはアラベスクの脚を後ろに上げようとしたときに、本来なら股関節で動かすべきところを、腰(腰椎)で反って無理に上げてしまうことが原因です。
📉 よくある影響:
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上半身が不安定になり、軸足がブレやすくなる
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体幹の力が抜けて、背中に余分な緊張がかかる
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長期的には、腰痛や股関節痛のリスクに
2. よくある間違い:「足を上げる=腰を反らせる」?
美しいアラベスク=脚が高い、というイメージが先行しがちです。
でも、実際に大切なのは、骨盤の位置を保ったまま、脚がどこまで上がるか。
つまり、
「腰を反って無理に高く上げる」のではなく、
「骨盤をまっすぐ保ったまま、股関節から自然に上げる」
ことが正解。
そのためには、股関節の可動域+体幹の安定性が必要です。
3. 骨盤・股関節・体幹、それぞれの役割
🦴 骨盤:アラベスクの“土台”
骨盤が前に倒れる(前傾)と、脚は上がって見えますが、体幹が抜けやすくなります。
理想は、骨盤を地面とほぼ平行に保つこと。
🦵 股関節:脚の“支点”
後ろ脚は、腰からではなく股関節から伸ばす意識が大切です。
そのためには、前ももの柔軟性とお尻の筋力がポイント。
🧘♀️ 体幹:全体を“つなげる力”
腰椎が反らないようにコントロールするには、腹横筋や多裂筋などのインナーマッスルが欠かせません。
4. 正しいアラベスクを作る3ステップ
✅ ステップ1:骨盤を水平にキープ
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上げる脚の側の骨盤が上がりすぎないように意識
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鏡でおへそと腰骨が水平かどうかチェック
✅ ステップ2:股関節から後ろ脚を動かす
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「お尻の下で脚を引き上げる」イメージ
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腰で反らずに、もも裏・お尻を意識して脚を伸ばす
✅ ステップ3:体幹を前に引き上げる
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お腹を前に突き出さず、あばらを内側にしまう
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腰を長く保ち、頭頂を遠くに引っ張る意識で
5. 家でできる!アラベスク強化トレーニング5選
🟣 ① クラムシェル(股関節外旋筋)
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横向きに寝て、膝を軽く曲げて開閉
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お尻の横を意識しながら動かす
🟣 ② プランク+脚上げ(体幹+股関節)
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肘つきプランクから、片足を後ろにゆっくり上げる
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腰が反らないよう、お腹に力を入れる
🟣 ③ ハムストリングリフト(もも裏)
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うつ伏せで、片足を曲げたまま天井に向かって持ち上げる
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腰を浮かせないように注意
🟣 ④ 壁アラベスク(姿勢の確認)
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両手を壁に置き、片足を後ろへ上げる
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骨盤が左右に傾かないように水平をキープ
🟣 ⑤ ブリッジホールド(骨盤の安定)
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仰向けに寝て、骨盤をゆっくり持ち上げて静止
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体幹とお尻の力を感じながら10秒キープ
6. まとめ:高くなくても美しいアラベスクを目指そう
アラベスクに必要なのは、「高く上げる技術」ではなく、「正しく支える意識」。
股関節から動かす、骨盤を安定させる、体幹で引き上げる。
これらが整った先に、ブレずに美しく伸びる後ろ脚があります。
大切なのは、今できる最大限の美しさを引き出すこと。
無理に高く上げようとして体を壊すより、
正しいフォームを身につけて、徐々にレベルアップしていく方が、ずっと遠くまで踊れます。
📌 今日のチェックポイント
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アラベスクで骨盤が傾いていないか
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脚を上げるとき腰を反らせていないか
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股関節から脚を伸ばしているか
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体幹で上半身を支えているか
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練習後に腰〜股関節のケアをしているか