■ はじめに
バレエのレッスン中、こんな経験はありませんか?
-
「先生に“呼吸して”と言われたけれど、どうしていいかわからない」
-
「動きに合わせて呼吸が乱れてしまう」
-
「力んでしまって、優雅さが出ない」
実は、バレエにおいて「呼吸」はとても重要な要素のひとつ。呼吸が整うと、動きの質が変わり、美しさや安定感が増すのです。
今回は、バレエにおける呼吸の役割と、正しい呼吸法を意識することで得られる効果、実践方法を詳しくご紹介します。
■ なぜバレエで呼吸が大切なの?
バレエは静止する時間よりも、「流れるような動き」の連続です。
この“流れ”を生むカギとなるのが呼吸。呼吸を止めてしまうと、
-
筋肉が硬直し、
-
動きがぎこちなくなり、
-
音楽からもズレやすくなります。
逆に、呼吸を正しく使うと、
-
筋肉の力みが取れ、
-
動きが柔らかくなり、
-
音楽と一体感のある踊りができるようになります。
特にプロのダンサーほど、呼吸によるリズムコントロールとエネルギーの出し引きを意識しているのです。
■ バレエにおける理想の呼吸法とは?
◎ 基本は「鼻から吸って、口からゆっくり吐く」
-
鼻から吸うことで、胸郭が広がり、上半身の姿勢が自然と整います。
-
口から吐くことで、腹部の筋肉がゆっくりと引き締まり、体幹の安定につながります。
◎ タイミングを意識する
動作 | 呼吸のタイミング |
---|---|
ジャンプ前 | 吸う(体にエネルギーを溜める) |
ジャンプ中/着地 | 吐く(重力に逆らわず自然に) |
アラベスクなどで伸びる時 | 吸う(体を広げるイメージ) |
ポールドブラで下ろす時 | 吐く(緊張を解くように) |
■ 呼吸を意識することで得られる5つのメリット
-
力みが取れ、無駄な筋力が抜ける → 柔らかく、美しいラインが生まれます。
-
動きに緩急がつき、ドラマティックになる → 音楽性のある踊りができるようになります。
-
持久力が上がる → 酸素をしっかり取り込むことで、疲れにくくなります。
-
ターンやバランスが安定する → 吐くタイミングとともに余計な力が抜け、軸が安定。
-
自律神経が整う → 緊張を和らげ、集中力もUP!
■ 今日からできる呼吸トレーニング3選
① 【立ったままで】音楽に合わせて呼吸する練習
-
4カウントで鼻から吸う
-
4カウントで口からゆっくり吐く
-
アームスを上げ下げしながら行うと、より実践的
→ 呼吸と動きを一致させるクセが自然に身につきます。
② 【床で】腹式呼吸トレーニング
-
仰向けになり、膝を立ててリラックス
-
お腹に手を置いて、膨らんだりへこんだりするのを感じながら呼吸
-
吸うときにお腹がふくらみ、吐くときにへこむように
→ 横隔膜を正しく使えるようになることで、コアが安定します。
③ 【バーレッスン前】深呼吸+ドローイン
レッスン前に軽く呼吸を整えながら、下腹を意識的に引き込む「ドローイン」を数回行うだけで、体の準備が整います。
■ おわりに
バレエの上達は、テクニックの積み重ねだけではありません。呼吸という内側の動きを意識することで、踊りそのものがより深く、美しく、そして快適に変化していきます。
レッスン中に「呼吸してる?」と自分に問いかけながら踊ることを習慣にしてみてください。きっと、体の感覚や動きの“つながり”が、今まで以上にクリアに感じられるはずです。