バレエを学ぶすべての人にとって「プリエ(plié)」は、基礎中の基礎であり、すべての動きに通じる重要なテクニックです。ジャンプ、ターン、アダージオ、アレグロ……どんな動きでもプリエがスムーズでなければ、その技術は決して完成されません。
しかし、正しいプリエを行うには柔軟性だけでは不十分。筋膜の硬さや癒着が原因で関節の可動域が狭くなり、結果としてプリエが浅くなったり、膝が内側に入ってしまったりするケースは多く見られます。
本記事では、プリエの質を高めるための筋膜リリース方法を、具体的なアプローチとともに解説します。
✅ プリエが浅くなる原因は「筋膜の癒着」にある?
バレエにおいて、膝を曲げるだけのプリエでは十分とはいえません。ターンアウトを維持しながら、股関節・膝・足首がしなやかに連動する必要があります。
よくある課題:
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股関節が硬くてプリエが浅い
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足首が曲がらずかかとが浮いてしまう
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膝が内側に入る
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太もも前が張る(過緊張)
これらの問題の多くは、筋肉の短縮や関節の構造だけではなく、筋膜(fascia)の滑走不全によって引き起こされています。
💡 筋膜リリースとは?
筋膜とは、筋肉や内臓を包む「膜」であり、全身をネット状に覆ってつなげる重要な結合組織です。
デスクワークや反復的な運動習慣、または間違った姿勢によって筋膜は癒着し、筋肉の動きの滑らかさを阻害します。筋膜リリースは、この癒着を手技やツールを使って解消し、筋肉が本来の柔軟性と動きを取り戻すよう導く方法です。
🔍 プリエのための筋膜リリース:部位別アプローチ
以下の部位をターゲットに、リリースを行いましょう。
① 足裏(足底筋膜)
なぜ?
足裏の硬さは、足首の可動域や地面の感覚を鈍らせ、プリエ時の安定性を奪います。
やり方
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ゴルフボールまたはフォームローラーを使って、足裏を前後にゆっくり転がす
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1日1〜2分を目安に
② ふくらはぎ(腓腹筋・ヒラメ筋)
なぜ?
足首の曲げ伸ばしを滑らかにすることで、かかとが浮かずに深いプリエが可能に。
やり方
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フォームローラーにふくらはぎを乗せ、体重をかけて前後にスライド
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気持ち良い痛みがある箇所で10秒キープ
③ 内もも(内転筋群)
なぜ?
内転筋が固まると、膝を外に開けなくなり、ターンアウトが維持できません。
やり方
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フォームローラーを内ももに当て、股関節から膝までゆっくり転がす
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呼吸を止めずにゆっくり行う
④ お尻(中殿筋・大殿筋)
なぜ?
骨盤の安定性を高めると同時に、股関節の開きやすさが改善されます。
やり方
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テニスボールやフォームローラーをお尻の下に入れ、体重をかけて小さく円を描くように動かす
⑤ 腸腰筋(深層の股関節屈筋)
なぜ?
骨盤の前傾や反り腰を防ぎ、正しいアライメントでのプリエを実現。
やり方
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仰向けで足を伸ばし、股関節部分にボールをあてて軽く体重をかける
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リリース後に軽くストレッチを加えると効果的
🧘♀️ 筋膜リリース+ストレッチのセットが最強
筋膜リリースで可動域を広げた後に、静的ストレッチやダイナミックストレッチを取り入れることで、リリース効果が長続きします。
また、プリエ前のルーティンとしてこの筋膜リリースを取り入れると、ウォームアップとリセットの両方に効果的です。
📝 まとめ:プリエの質を変えるのは“土台からの改善”
プリエの美しさや深さは、筋力や柔軟性だけでなく、筋膜の滑らかさや身体の連動性に大きく依存しています。
今日からできる「プリエのための筋膜リリース習慣」を取り入れて、あなたのバレエに新しい感覚を育ててみてください。