バレエのすべての動きの基礎にある「プリエ(plié)」。
フランス語で「曲げる」という意味のこの動作は、バレエにおいては単なる“膝の曲げ伸ばし”ではありません。
実はプリエには、美しさ・柔軟性・筋力・安定感のすべてが詰まっており、初心者からプロまで、あらゆるバレエダンサーが日々繰り返している大切な動作です。
今回は、「プリエって何?」「どうすれば美しくできるの?」「間違いやすいポイントや自宅練習の方法は?」といった疑問を丁寧に解説していきます。
■ プリエとは?
プリエは、膝を曲げて戻す動作で、主に「ドゥミ・プリエ(浅い膝の曲げ)」「グラン・プリエ(深い膝の曲げ)」の2種類があります。
バレエの基本ポジション(1番、2番、5番など)でこの動作を行い、以下のような目的があります:
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関節と筋肉のウォームアップ
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床からの反発を感じる感覚(ジャンプに重要)
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体幹の意識・姿勢の確認
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脚力と柔軟性の向上
つまり、プリエは「ただの準備」ではなく、「美しく踊るための入り口」なのです。
■ よくある間違いと修正ポイント
❌ 間違い①:かかとが浮いてしまう(特にドゥミ・プリエ)
→ 安定感がなくなり、脚に負担がかかる
✅ 修正: 「かかとは床につけたまま」が基本ルール(※グラン・プリエでは一部例外あり)。
足裏全体で床を押す感覚を大切に。
❌ 間違い②:膝とつま先の方向がずれている
→ 膝や足首を痛める原因に。
✅ 修正: つま先の方向と同じ方向に膝を曲げる。
→ 例えば、1番ポジションであれば外側に向けたつま先の延長線上に膝を出すように。
❌ 間違い③:上半身が前傾してしまう
→ 体の軸が崩れ、バレエらしいラインが崩れる
✅ 修正: 背筋をまっすぐ保ち、頭頂が天井に引っ張られるような意識で。
骨盤を立てて、お腹を軽く引き上げることを忘れずに。
■ ポジション別|プリエのやり方
【1番ポジション】
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両かかとをつけ、つま先を外側に開く
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膝を横に曲げ、体重をまっすぐ下に落とす
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戻すときもかかとで床を押すように立ち上がる
【2番ポジション】
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足幅は肩幅程度
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体重を均等に乗せ、より深いプリエが可能
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初心者にもやりやすく、体の感覚をつかみやすい
【5番ポジション】
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両足をクロスしてかかととつま先を密着
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難易度が高いため、正しい骨盤と膝の向きがカギ
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上体のブレを最小限に保つ練習になる
■ 自宅でできる!プリエ練習法
◉ 鏡を使ったフォームチェック
姿見の前で行い、膝・つま先の方向・上体の軸を視覚的に確認しましょう。
◉ 壁を背にしてプリエ
壁を背にすると、お尻が後ろに出ない感覚が身につきやすいです。
◉ フローリング or ヨガマット上でゆっくりプリエ
床の感触を感じながら、足裏全体で床を押す感覚を習得。
■ プリエを深めるためのポイント
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呼吸と連動:息を吐きながら膝を曲げ、吸いながら伸ばすと自然な流れに
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背中の意識:プリエ中も背筋を意識して、美しいラインを保ちましょう
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股関節から曲げる意識:膝だけでなく、股関節からしなやかに曲げると美しい動きになります
■ よくあるQ&A
Q. グラン・プリエでふらつきます…
→ 無理に深く曲げず、ドゥミ・プリエを丁寧に繰り返すことで安定感が生まれます。特に5番ポジションでは膝・かかとの位置に注意。
Q. 脚が太くなってしまうのが心配です
→ 正しいフォームで行えば、筋肉太りせず引き締まった脚が手に入ります。姿勢とターンアウトを意識しましょう。
■ まとめ:プリエは“踊る準備”ではなく“踊りそのもの”
プリエが美しくできると、ジャンプ、ターン、移動すべての動きにエレガントさと安定感が加わります。
毎日ほんの数分でも構いません。自分の身体と向き合いながら、丁寧にプリエを繰り返すことが、バレエ上達の一番の近道です。
「動き出す前に、まずは立ち方と曲げ方から。」
この意識が、あなたのバレエを一段と輝かせてくれるはずです✨