“止まる”“回れない”を卒業する、フェッテ上達のための実践ガイド
フェッテ(Fouetté Turns)は、バレエの中でも高度な技術を必要とする回転技。
グラン・フェッテ・アン・トゥール(Grand Fouetté en tournant)は、舞台での見せ場でありながら、多くのダンサーが「苦手」と感じるパートでもあります。
「途中で止まってしまう」
「回数をこなせない」
「回転の途中でバランスを崩してしまう」
──これらの悩みの原因は、フェッテ特有の“タイミング・腕・目線”の使い方を理解できていないことがほとんどです。
この記事では、フェッテを美しく、そして安定して連続で決めるために必要なポイントをわかりやすく徹底解説します。
🔍 目次
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フェッテとは?基本の動作をおさらい
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フェッテが苦手になる3つの原因
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克服の鍵①:タイミングの“切り替え”を覚える
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克服の鍵②:腕のリードと回転のエネルギー
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克服の鍵③:目線(スポット)で軸を制御する
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自宅でもできるフェッテ練習法
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まとめ:フェッテは“技術と感覚”の掛け算で上達する
1. フェッテとは?基本の動作をおさらい
フェッテとは、片脚を支点にして回転しながら、もう一方の脚を振るように動かして連続回転する技です。
**“鞭のように打つ”**という意味を持つこの技は、回転・タイミング・軸・視線がすべて完璧に揃う必要があります。
基本構成:
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プリエ → 回転(ルティレ) → 腕と脚の開き(アラセゴン) → 脚を戻して再度回転
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この一連を繰り返すことで連続回転を生み出します。
2. フェッテが苦手になる3つの原因
❌ タイミングのズレ
→ プリエ、腕の動き、脚の開きがバラバラで“流れ”が途切れてしまう
❌ 軸のブレ
→ 毎回のプリエ・立ち上がりで軸がぶれるため連続できない
❌ 目線がずれる
→ スポット(視線固定)がないと、回転ごとに姿勢が崩れる
3. 克服の鍵①:タイミングの“切り替え”を覚える
フェッテ成功の最大のコツは、「開く・戻す・回る」を一瞬で切り替えること。
この切り替えが遅れると、脚が振り遅れ、回転が止まります。
✔ ポイント練習法:
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音楽なしで**「プリエ → 脚を横に出す → 戻す → 軸に入る」**をスローで繰り返す
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8カウント使って1回のフェッテを分解すると、各タイミングが整理されます
4. 克服の鍵②:腕のリードと回転のエネルギー
フェッテは、脚ではなく“腕と体幹”で回る技です。
アームス(腕)の動きが遅れたり力が抜けたりすると、軸が崩れてしまいます。
✔ 腕の使い方のポイント:
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回転直前のアームスはしっかり引き寄せてコンパクトに
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“開く→閉じる”の動作を正確に素早く行うことで、回転に必要なエネルギーが生まれます
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開くアームスは背中から動かす意識を持ちましょう
5. 克服の鍵③:目線(スポット)で軸を制御する
フェッテでは、目線(スポット)が回転の“ハンドル”の役割を果たします。
目線が回転に追いつかないと、軸がぶれたり回転がズレたりします。
✔ 目線の練習法:
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鏡や目印を使って、“視線を固定して一瞬で戻す”スポット練習
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首の回転と目線の先行を分解して練習
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実際のフェッテでは、“脚を戻すと同時に視線も戻す”意識を持つ
6. 自宅でもできるフェッテ練習法
🟡 アームス&目線連動トレーニング
鏡の前で、脚を使わずに腕と目線だけで回転のイメージ練習
→ 動きのタイミングを体に染み込ませる
🟡 壁フェッテ(バーや壁に手を添えて)
壁を支えにして、脚の動きと腕・視線の流れを確認
→ 軸が崩れず、フォームの安定性を確認しやすい
🟡 スロー・フェッテ(倍速で1回転を分解)
→「ゆっくりやっても回れる」ことで、無駄な動きを修正
7. まとめ:フェッテは“技術と感覚”の掛け算で上達する
フェッテは、見た目よりも繊細なバランスとタイミングが求められる高度な技。
しかし、正しい流れ・腕の動き・目線の使い方を習得すれば、連続で決まる気持ちよさを味わえるようになります。
🔹 フェッテがうまくいかない方は、まず「1回転の質」を高めることから。
🔹 無理に回数を増やすのではなく、動作を“整える”ことが一番の近道です。