“プリエ”の深さが踊りの質を決める:すべての動きはここから始まる

はじめに

「プリエはすべての始まり」――バレエの世界ではよく耳にする言葉です。

でも実際、プリエについてどこまで深く意識しているでしょうか?

  • バーでの形だけ?

  • 通過動作としてなんとなくやっていない?

  • 「深ければ良い」と思い込んでいない?

プリエは見た目の“膝の曲げ伸ばし”ではなく、**重心・筋肉・呼吸・音楽性すべてを調和させる“芸術の土台”**です。

今回は、プリエが持つ本当の意味と、踊りの質を上げるために見直すべきポイントを解説します。


1. プリエが持つ5つの役割

バレエでプリエがなぜ大切なのか。単に「曲げる・伸ばす」だけではない理由を明確にしましょう。

✅ 1. 衝撃を吸収するクッション

着地時にプリエを使わなければ、関節や筋肉に直接負荷がかかり、ケガのリスクが高まります。
プリエはバネのように、衝撃を受け止め、次の動きへとつなげる大切な中継点です。


✅ 2. 動きの“始動装置”

ジャンプ、ターン、移動……どんな動きもプリエから始まります。
しっかりとしたプリエがあれば、エネルギーを効率よく溜めて、滑らかに放出できるのです。


✅ 3. 筋肉とアライメントの確認

正しいプリエは、ターンアウト、骨盤の安定、背骨の軸、内転筋の使い方などすべてを意識するトレーニングになります。


✅ 4. 音楽と呼吸のつながり

“プリエで音を感じる”とはよく言われます。
体が音楽に反応し、呼吸と動きがシンクロする瞬間を作るのがプリエなのです。


✅ 5. 感情を伝える身体表現の始まり

プリエ一つで「柔らかさ」「緊張感」「喜び」「悲しみ」など、感情が伝わります。
表現力の基礎となる動きでもあるのです。


2. よくあるプリエのNG例と改善方法

❌ 1. ただ“膝を曲げる”だけになっている

骨盤の安定、足裏の感覚、股関節の折れ方を意識。
曲げるのではなく、「下に沈み込む」イメージが大切です。


❌ 2. 膝がつま先の方向を向いていない

→ プリエはターンアウトとセット。
つま先と膝が同じ方向に向いていないと、膝に大きな負担がかかります


❌ 3. 上体が潰れてしまっている

→ 背中を伸ばしたまま“真下に降りる”のがプリエ。
軸は垂直に、胸と頭は空に引き上げる意識を忘れずに。


3. 自宅でできる“プリエ向上トレーニング”

💡 エクササイズ1:壁プリエ

壁に背中をつけ、足を1番に開いてプリエ。
背中とお尻が壁から離れないようにプリエを繰り返すことで、骨盤の安定とターンアウトの連動が体感できます。


💡 エクササイズ2:スロープリエ(8カウントで降りる)

カウントを長くとることで、筋肉の細部までコントロールできているかを確認できます。
特に内転筋(内もも)と足裏の意識を集中させましょう。


💡 エクササイズ3:ミラーでの観察

鏡の前で、正面・横から自分のプリエをチェック。
背中が丸まっていないか、膝が外を向いているか、重心が安定しているかを客観的に確認できます。


4. プリエが変われば“音楽性”と“表現”も変わる

技術的なメリットだけでなく、芸術としてのバレエにおけるプリエの重要性も見逃せません。

  • プリエの深さとスピードで、曲の雰囲気を表現できる

  • 音に乗るプリエは観客に“感動”を与える

  • 「止まっているようで流れている」時間を生み出せる

プリエを深めることで、“動作”が“表現”に変わるのです。


おわりに:あなたのプリエはあなたのバレエそのもの

プリエを見れば、そのダンサーの意識、訓練度、表現力がすべてわかると言っても過言ではありません。

  • 「もっと高く跳びたい」

  • 「もっと美しくターンしたい」

  • 「もっと音楽に乗りたい」

その答えは、まずプリエの質を上げることにあるのです。

一度、初心に帰って“プリエと向き合う時間”を持ってみませんか?

あなたのバレエが、きっと一段階上のステージへと進むはずです。

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